CHINON-CE3


プラクチカM42マウントの最終兵器


チノンCE3は、メモトロンという愛称を持つチノンの輸出専用機CEシリーズの最終機。1973年のCEに始まるこのシリーズは、プラクチカM42マウントのカメラにSPD素子による絞り込み自動露出機構を組み込んだユニークな機種である。CE3は、1977年に発売されたこのシリーズ最終機。多数あるプラクチカマウントのレンズを生かせるボディーを探し求めているうちに、ここに行き着いた。

輸出メーカーとして、他社製のM42レンズが使えることが大前提だったのだろう、マウントのオート絞り連動機構には他社に見られない工夫が施されていて、オートピンの長さに自在に対応する機構になっている。手持ちのペンタックス、ヤシカ、フジカ、東独ツアイス、どのレンズにも問題なく対応する。これは他社ボディーではできない芸当で、オートピンのメーカーごとの相性は煩わしい問題なだけに、実際の使い勝手を考えた良くできた構造だ。


この機種の最大の特徴は、SPDによる絞り込み自動露出機構にある。絞り込み測光の自動露出は、ヤシカのエレクトロAXがすでに実現していたが、それは露出計のスイッチを入れると同時に絞り込まれ、F値によっては画面が真っ暗になる物で、実際の使いかっては良くない物だった。M42マウントの雄、ペンタックスはレンズに独自の開放測光ピンを付加し、自動露出機は開放測光とした。しかし測光ピンのために互換性が低くなりM42マウントを採用する意味が薄れてしまった。

このメモトロンに採用された瞬間絞り込み測光は、使ってみると問題解決のユニークで独創的なことと、実際の使い勝手をよく考えた機構であることが解る。CE3は、シャッターを押し込むとまず絞りオートピンが押され、設定された絞り値まで絞り込まれ、さらに押し込むと露出計のスイッチが入り測光、最後に測光値に従いシャッターが切れる。反応の早いSPDダイオードを使用することで、この一連の操作を瞬時に完了できるようにしている。メーカーはこれを瞬間絞り込み測光と呼んでいた。



この瞬間絞り込み測光だと、絞り込まれるのはシャッターが切れる直前のみで、ほとんど気にならない。フレーミングとピント合わせに集中することができる。絞りのオートピンを持っているレンズならメーカーを問わず開放測光の、絞り優先オートのように使用することができる。これは、使用するとちょっと感動的な操作感で、ファインダーが明るいことと相まって、旧レンズが生き返ったように感じる。ただ機構的にシャッターストロークは、長くて重いが、それは慣れの範疇だろう。

最後発のスクリューマウント機なので、ワインダーも用意されていた。手動の巻き上げの感触が今一なので、音はでかいが常用している。これにはインターバルタイマーがついていて、1秒から30秒までの任意の間隔で、設定した枚数の自動撮影ができる。しかし中途半端な機能でほとんど使い道はなさそうだ。裏蓋は交換できるのでモータードライブなどのオプションもあったのかもしれない。

シャッターは電子制御、縦走りの金属フォーカルプレーンだが、少々動作音はうるさい。ややかん高い、あまり耳障りのいい音ではない。手に入れた個体はさすがにモルトはへたっていてすべて交換が必要だったが、それ以外はまったく問題無くM42レンズ用のメイン機として活躍している。このカメラの作られた1980年頃が日本製マニュアルカメラの機械的な完熟期だったようだ。これ以降銀塩一眼レフカメラもプラスチック素材、CPU、オートフォーカスと、進化の袋小路に入っていく。

スペック的にも時代的にも対抗機種は フジカAZ-1なんだろうが、どう見てもチノンの勝ちだ。CE-3はM42マウントのカメラの特長を何とか出し切ろうとした設計者の意図が良くわかるし、カメラとしての完成度も高い。残念ながら、やはりというかフジカは期待はずれ、専用レンズでの開放測光を前提に設計されており、専用レンズ以外では、このカメラを使うメリットはほとんどないだろう。Kマウントカメラにアダプターでつけるのと操作性は変わらない。この時期でもまだ布幕というのもなんだかなー?



 



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