CanonVILとIN26n


 CanonVIL と インダスター26n

 キャノンVILは、1958年に発売されたキャノンのレンジファインダーカメラ。V型から始まる工業デザイナーによるデザイン設計を取り入れたシリーズで、1軸不回転シャッターダイヤル、自動復元フィルムカウンター、変倍ファインダーを備えたレンジファインダー機の完成形と言ってよい機種。キャノンのライカ型最終シリーズは7シリーズだが露出計を組み込むために大型化してしまいデザイン的美しさはVIシリーズに及ばないと思う。他社があまり採用しなかったためか、評価されることが少ない変倍ファインダーはフレームだけが切り替わるよりも実に明快で便利、しかしコスト的な問題からか7では採用されない。


最新技術を矢継ぎ早につぎ込むキャノンの伝統ができたのもこのころで、シャッター幕にはチタン金属膜を、標準レンズには重フリント系の光学ガラスをいち早く採用している。まあしかし、この2つは勇み足で、曇り玉、シャッター幕のよれという耐久性の問題を起こしてしまった。コストを気にせず先進的な技術を旺盛に取り込む古き良き時代のカメラ。この後VILをベースにしたP型で簡略化、量産によるコストダウンで商業的にも成功したことは、その後のキャノンのカメラ作りの方向性を決めたように思う。

 と言うわけで、入手したワンオーナーのVILは綺麗に丁寧に使用されていた物、しかし50mmF1.8のレンズはしっかり曇っていてちょっと研磨したぐらいでは再生できそうもない。重フリント系の当時の新素材なんだろうけど、耐久性に問題ありで、研磨してもすぐに曇る。それではということで、ザーリャについてきたインダスター26nを取り付けてみると、シルバーの鏡体が結構マッチする。距離計も問題なく連動する。ということで、今回はこれを取り付けて使用してみる。

<シャッター幕はチタン合金の薄膜、熱の耐久性は高いが使用中にシワが出てくる。
>シャッターダイヤル回り、シャッター位置、巻き上げノブの形状、巻き戻しクランクの収納方法など、完璧なバランス。

<距離計の基線長は短いが、ファインダー倍率を上げることでカバー。
>自慢の変倍ファインダーは、35、50、Mg の3段に切り替わる。

 


ファインダーカビ

革製のカメラバッグに長期間保存されていたため、金属部は状態がよいのだがファインダー内部は見事にカビだらけ、軍艦部をばらして、ファインダー清掃をする。変倍ファインダーはキューブ状の光学系を回転することで、倍率を変えている。これもカビカビだったので、ばらして清掃カビ取り。ばらしてみると、量産普及型P型とはファインダー光学系以外はまったく同じ部品を使用している。VILをベースに大量生産によるコストダウンに成功しP型は爆発的に売れた、まあそういうことでキャノンはその後、ちょっと高級な量産普及機の大量生産で市場シェアを取って行くこととなる。

 


Fuji 100 
写真はクリックで拡大します。

IN26n 52mm F2.8 <開放>
1/60 f2.8開放
開放ではさすがに周辺がやや怪しいが、画面の2/3は問題ない、中心部は高い解像力が保持される。 カメラの操作性は非常によい、ちょっと横長、角形が最初とまどうが。
IN26n 52mm F2.8 <中景>
1/125 f5.6
特に問題なし、適度のコントラストと解像力あり 。
心配した高速シャッターの幕ブレも起きなかった。

IN26n 52mm F2.8 <遠景>
1/250 f8
順光の遠景は非常にシャープに写る。 逆光はややフレアーがかかったような描写になる、逆光時の性能は上位レンズのJupiter8に劣る。発色、粒状が今一なのはフィルムのせい、ビーナス400の方が粒子が細かい、このフィルムはいかんなーフィルムはケチってはいけません。

 



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