Wester Autorol

 


最後発組・日本製スプリングカメラ


蛇腹カメラである。「スプリングカメラで行こう」という本を何気なく買ってしまった。旅行のお供にじゃまにならないコンパクトな中判がほしくなり、その本の中にあったこの西田光学製オートロールをオークションで見かけ、思わず入札、入手。ブローニー66フォーマットのスプリングカメラとしては最後発組で、連動距離計、セミオートマット、直進ヘリコイドと、機能は一通り揃っていて扱いやすい。期待通り折りたたむと、弁当箱大になってしまい持ち運びに大変便利。しかもフォーマットは中判だ、ちょっとした山歩きのお供にはぴったりだろう。

折りたためば、弁当箱大で、本当にじゃまにならない。しかも中判で迫力ある写真も撮れる。ボディーの貼り革は、製造後50年を経過したとは思えないくらいしっかりしている。


連動距離計とスタートマーク式の自動巻止め 機構がついている。セルフコッキングと2重露出防止機能は無い。2重撮りに注意する以外は、それなりにテンポ良く撮影できる。小型軽量(750g)なので中判とは思えないホールデングの良さで、撮影のフィーリングは良い。リペアーしたファインダーは2重像の分離もくっきりしており、見やすいのだが、フレームがあいまいでフレーミングが取りにくいが、普及機なのでしょうがないか。

WESCON 75mm F3.5、トリプレットのレンズであまり評判は芳しくないが、実写では抜けの良い、高コントラストな像でF8まで絞れば、実用十分以上な像だと思う。同じ銘柄でも下請けが違うか、フィルムの平面性の影響を受けて評価が異なるのかもしれない。焦点距離が75ミリなのも、広くて使いやすい。80ミリ前後の焦点距離は、絞りでぼけをコントロールして主題を引き立たせることができ便利な焦点距離だと思う、そのためには正確な距離計は必需品で、中判で連動距離計の無い物にはちょっと食指が動かない。

 


フォーカスノブと、シャッターリング固着


本機は外観は非常に良い状態だったが、部品、グリスの経年変化で、フォーカスノブと、シャッターリングは固着していて、全く動かすことができなかった。分解修理となる。手術の方針は、まずは、レンズ・シャッターユニットの取り外し。蛇腹は初体験なので慎重に進める。
<フィルム室側からアクセスして、レンズボードからユニットごとごっそりと取り外す。

<距離目盛環の受け側がオイル切れで完全に固着。ヘリコイド部も同様。ばらして、ベンジン漬けけにして劣化固着したオイルを取り去る。

<カビの生えたレンズは、中性洗剤に浸し、アルコールで拭き上げる。
>シャッター目盛環も、固着したオイルを洗い流し動くようにする。

<自社(西田光学製)シャッターは、スローガバナーを洗浄すると元気に動き出した。作りは雑だと言われるが、丈夫なようで洗浄・注油以外の調整はいらなかった。

<レンズボードにレンズユニットを戻して完了
>自動巻止めの機構、異常なく注油のみにとどめる。

<トップカバーをはずし、距離計の清掃。ハーフミラーは劣化していてほとんど分離しない。アルコールで拭くだけでメッキはぼろぼろはがれてしまった。ハーフミラーも部材として売っているが高価。ネットで探していると、ありましたハーフミラーの補修方法。そうか、車のウィンドウ用ミラーシールを使う手があったか!ありがとうRange Finder様。さっそく実行すると、これが抜群に調子よく、必要な部分のみミラーシールを貼ることでファインダーもグンと明るくなった。所定位置にミラーを戻し、2重像の微調整をして完了。

>最後に、トップカバーのメッキ劣化部の錆を落とし、シルバーのタッチペイントを薄めながら重ね塗りをして補修。

 


Fuji リアラエース100 撮影地 西伊豆
Wescon F.C. 75mmf3.5  f8〜f11

あまり評判は芳しくない、このレンズだが、これは当たり?よく写る。画面中央部をはずれてもぼけぼけということもなく、f8での画像は実に立派な画像。裏紙を使用する120フィルムはフィルム面の安定性が悪く、浮いたコマはぼけぼけになる。外気温や湿度の影響を強く受けるので、評価が分かれるのはその辺に理由があるかもしれない。75ミリでやや広角の焦点距離は使いやすい、ファインダーのフレーミングは今一だが、確かに旅行用にはぴったりな一台だろう。


さすがに青空などを撮ると、絞り込んだコマでも周辺減光は判る。色の再現は良い、たった3枚のレンズと蛇腹のせいか、抜けが良い。すっきりとした写りは嫌みが無い素直な画質だと思う。中判用トリプレットはレンズ設計がしやすいので、予想外によく写る物が多いようだ。



Modern Classic Camera|Classic Camera TOPレンズ編カメラ編


Orio HP TOP