湯沼合宿2日目は、荒天が予想されていたため近くの梓鉱山か、大見山を予定していた。しかし、湯沼鉱泉に着き湯沼鉱泉の社長の話を聞くと、曰く「そこは、かなり産地の手前だ、俺はおととい行ってきただ。」と、→写真のようなとんでもなくでかい群晶を見せてくれた。「こーいうのがいっぺいあるだ」

「いっぺーあるだか?」「まっとおくだかー!」なぜか川上訛りになってしまうWセンセ。我々が到達した場所は、産地中心部からはかなりはずれたところであった。核心の場所はもっと奥、そしてもっと高い標高2.400mに近い場所らしい。立派な群晶を見せられ、心は揺らぐが遭難も困る。翌日早朝の天気予報を見て目的地を決めることとする。

 湯沼鉱泉の天然水晶洞という名前の鉱物博物館については以前ご紹介したが、私設博物館としては日本一の規模だろう。一見の価値がある。それとここでは、地元の日本犬川上犬の繁殖もやっている。元は猟犬なので、夜中集団で遠吠えをしたりするが、今回は生まれて3週間の子犬が出迎えてくれた。山中に社長のお供もするここの犬は、みな犬らしく幸せそうである。

 さて翌日、早朝、午前中の降水確率30%、午後50%と天気予報が伝えている。ちょうど関東南岸を通る前線の北の端で微妙なところだ。早出午前中の勝負!幸い3名とも初冬用の装備で来ているし、昨日下見も終了しているので道もほぼ間違えることもあるまい。ということで、小川山に向け湯沼鉱泉を7時30分ごろ後にする。

 天候の心配があったので、いやがうえにも歩みは早まる。途中の壁面などには目もくれず、ひたすら現地をめざす。ガレ沢の合流点まで約2時間、良いペースだ。険しい道不適格者も、最近の探査活動鍛錬の成果が多少出ているか?さてここから鬱蒼とした森に、枯れ沢伝いに入りひたすら登る。

 獣道のような、踏分道のような曖昧な道をひたすら登ると、苔むした地面の間からキラキラと光る水晶を堕胎した岩石があちこちに見えるようになる。これは昨日行った場所と同じような産状で、母岩も同じ石英質の花崗岩のようだ。やがて、誰かが採掘した跡も見えるようになる。この辺が産地の中心か?ここまで約2時間半

 確かに水晶はあるのだが、その産状は昨日の場所とほぼ同様な状況で、湯沼鉱泉の社長さんに教えてもらった産状とは違う。ここから迷うこと2時間、森の中を上に詰めながら彷徨する。小さな露頭、掘られた岸壁など各地にあるが、「こんなのがいっぺいあるだ!」という状況ではない。そうこうしているうちに、雪がちらつき始める。雨よりはましだが、ついに初の雪中行軍となる。

 12時には下山を始めないと危険、ということで元のルートに戻り下山のルートを探索し始めると、あれ?これは?やや大きめな一見煙り水晶に見える群晶を発見!ここだ、ここを詰めろ!寒さを忘れ、森をさらに上方に詰めるとほとんど峰近くについに露頭とズリを発見!崩れた坑道もある。しかしすでに時間は11時30分。雪も時々激しく降る。採取は30分として、急いで露頭に取りつく調査隊だった。

 ハンマーを振るうと体が温まる、いつも落ち穂拾いなので、まじめに鉱物ハンマーを使用したのは初めてかも知れない。時間もないため、大きな群晶はねらわずに取り出しやすそうな物に取りかかる。それぞれ何とか、採取を終え、小休憩と昼食をたったまま取り、急いで下山する。少し下ると、小雨に変わり沢沿いについたころには、雨も上がってくれた。

 帰りに、再び湯沼鉱泉により、下山報告。鉱泉につかった後社長と、ひとしきり産地談議。露頭は、崩れた坑道の所にあるが、ここは以前は入れたとのこと、この鉱山は水晶を目的に掘られたらしい、らしいというのは峰を越えて山梨側に採掘物は降ろしたので、長野側から人足等は出しておらず記録がないとのことだった。
 それにしても、小川山は広い、ほぼ一山水晶のついた山塊といっても良いかも知れない。その代わり非常に迷いやすい。標高も2200mもあり歩行距離も長いので、十分な装備が必要。ガイド無しでたどり着くのは難しいだろう。
←小川山水晶露頭

 ここには、粘土に覆われた水晶塊があり、うまく叩くとクラスターとして採取できる。一見煙水晶に見えるが、母岩の色を反映しているだけのようだ。はずれた物は無色透明で透明度は高い。

 同じ場所だが、ズリから拾ったもの。母岩の性質が少々異なるのか、見かけの水晶の色がかなり違う。

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